Arxcs Magazine Vol.103 「違う視点でサッカーに関わり続ける」

【名前】徐仁柱
【経歴】2017~2020 神戸朝鮮高級学校  2020~朝鮮大学校 

    2021~2022 東京都大学サッカー連盟 学生幹事            

高校時代について

-朝鮮大学に進学した経緯を教えてください。

何も考えてなくて、別の大学に進学する可能性もありました。

関西出身で、関西の大学を受験していました。

語学を学べる学校に行きたかったのですが、受験に落ちてしまいました。

友人からも一緒に朝鮮大学に行こうと前から誘われていたので、最後の最後に朝鮮大学に進学することを決めました。

-高校でサッカー引退を決めた理由を教えてください。

高校時代はプレイングマネージャーをやっていました。

プレーしながら、チームのタイムスケジュールなどの仕事をしていました。

少しずつ、監督からスタッフとしての役割を任せてくれるようになりました。

遠征の時の集合時間などを決めたりなど、高校時代から少しずつ始めていました。

プレーはAとBを行き来しているような選手でした。

ワンチャンスあったら試合に出れたりする選手でした。

自分の力量もわかっていました。

朝鮮大学に入学し、部活に入りたいと考えていました。

サッカー部に入ろうとしていましたが、選手としてやり切れる情熱はあるのか、そこに引っかかっている自分がいました。

プレイヤーとしてサッカーを続けるか、高校の時の監督と相談もしました。

トップチームに行かなくても、そのカテゴリーでプレーする姿は仲間を引っ張る力はあると思うと声をかけていただきました。

その時に監督から、大学サッカーには学連という組織があるということを教えてもらい、合いそうじゃない?と言われました。

マネジメントも好きだし、自分にも向いてそうだと思ったので、サッカー部に入って、学連に所属しました。

本人提供

大学サッカーについて

-スタッフになってからギャップはありましたか?

目の前にグラウンドがあって、ボールもあるのに、自分が主になってボールを蹴れないもどかしさがありました。

試合が始まってから、終わるまで、ベンチにいたとしても、試合に出れない違和感がありました。

そこはすごいギャップでした。

もう1つは

高校の時は1つ上の先輩にマネージャーがいましたが、3年生になった時にはいませんでした。

なので、けが人がマネージャーの代わりをしてくれていました。

このサッカー以外の仕事をやってくれる人がいるから成り立っているんだなと強く感じることができました。

サポートしてくれる人や、1試合が始まって終わるまで、どれだけの人が関わっているのかを知り、1試合の重みを知ることができました。

-やりがいや、成長を感じたことを教えてください。

身近なことで言うと、マッチミーティングを学生主体となってよくします。

自チームの監督と対戦相手の監督、審判の方たちとミーティングをするのですが、そこによく参加していたので、自分の顔が広がりました。

自分の知らない世界を知ることができたのはとても大きいです。

もう1つは伝える力がついたと感じます。

連盟の立場で他大学とメールなどでもやり取りしたりするので、敬語はこうやって使うのかとか、この表現は使わないほうがいいななど、考えるようになりました。

-これらの経験を通して、今後どのようなことに生かしていきたいですか?

短期的な目標、目的としては、まだ、サッカー部に所属しているので、東京都リーグ優勝、関東リーグ昇格に貢献すること。

そして、チームの最終節、ホームゲームを観客で満員にすることです。

どのように応援されるチームになるのか、を考えています。

強いチームになるためには僕の力は微力しか及ばないかもしれないですが、応援されるチーム,

みんなに愛されるチームは自分の役割だと思っています。

長期的な人生プランはあまり決まってはいないですが、Jに行きたいと考えています。

もっと高いレベルのサッカーを身近に生活をしたいです。

チームのマネージャーというよりかは、フロントスタッフの立場でサッカーを動かしたいと考えています。

-学生スタッフの魅力を教えてください。

はたから見たらマネージャーは雑用に見られてしまいます。

それでも、試合に勝ったときの感情を爆発させるような喜びや、負けた時の悔しさは選手同様に感じることができます。

チームに関わり続けることで、親近感がわき、自分事に捉えることができるようになります。

その感情の揺さぶりを常に感じられるのは魅力だと思います。

サッカーを知っている人からすれば、サッカーの裏側を詳しく知ることができます。

プレイヤーとはまた別の視点が広がります。

プレーしていると、このグラウンド悪いなとか、審判何やってんのとか、思うことが多いと思いますが、スタッフになるとそれぞれのバックグラウンドを知ることができるので、文句があまり出てこないです。

それぞれの立場の人の理解ができるようになります。

もう1つは、才能関係なしにサッカーに関わり続けることができます。

僕自身、身体能力が高いわけでもないですが、スタッフとしてサッカーに関わり続けることができています。

スタッフもサッカーのポジションと同じだと思います。

選手が花形ですが、みんな頑張っているというのは一緒だなと感じます。

本人提供

これからについて

-今後のキャリアについて教えてください。

まだ明確なキャリアはありません。

ただ、サッカーを通して活動したいという気持ちがあります。

自分で言うのもあれですが、特殊なジャンルの人です。

国籍は朝鮮なんですけど、生まれも育ちも日本です。

在日コリアンのコミュニティがあって、小中高大とサッカーをしてきました。

多くの人から応援され、支えられてきて、今の自分があるなと感じます。

今まで育ててくれたコミュニティへの恩返しを必ずどこかでしないといけないなと思っています。

朝鮮大学はそう思っている人が多いと思います。

その手段として、プロになるという人もいれば、教師になる人もいます。

僕は、そのコミュニティをサッカーを通して盛り上げたいと考えています。

在日コリアンはどのスポーツよりサッカーがメジャーです。

短期的にではなく、僕の持っている知識や経験、力が育ってきたコミュニティに還元できればいいなと思っています。

-最後に、体育会学生にメッセージをお願いします。

目標達成はそう簡単なものではないです。

なので、目標を決めることも大切ですが、目的のところにフォーカスしてほしいと思います。

なんでサッカーをやっているのか、なぜこのチームを選んだのか、このチームでサッカーをする存在意義は?

これらを考えることが大切だと思います。

Jリーグ優勝を目標にしていても、優勝できるのは1チームだけですし、ワールドカップも195か国中1チームしか優勝できません。

となると、目標を達成することはとても難しい事だと思います。

例えばリーグ優勝が確定して、消化試合が5試合あるとなった時、その試合をどうモチベーションをもって戦うのか。

目標だけだとそのモチベーションが無くなる選手がいると思います。

その時に、自分がサッカーをする、このチームにいる存在意義などの目的がはっきりしていれば、消化試合だとしても、ちゃんと向き合うことができると思います。

ー本日はありがとうございました。
(この記事は2023年4月18日にインタビューさせていただいたもの掲載しています。)

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